まさかなぁと思って相談してみたら、まさかの過払い金120万円ありました。 全ての払いが終わっていた…
なぜ過払い金が発生するの?詳しい仕組みについて徹底解説
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2018.07.05
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なぜ過払い金が発生するのか
借入れ金に対しては、「利息制限法」という法律によって利率が以下のように定められています。
- 元本の金額が10万円未満…年20%
- 元本の金額が10万円以上100万円未満…年18%
- 元本の金額が100万円以上…年15%
ただし、この利息制限法で定められた以上の利率でお金を貸す業者がいたため、本来支払うべき額以上のお金を貸金業者に支払うという事態が起きていたのです。この払いすぎた利息分が「過払い金」となりました。
しかし、この過払い金について考えを及ぼした場合に、1つ疑問が浮かぶ方もいるのではないでしょうか。「法律で利率が定められていたのなら、なぜ過払い金なんてものが発生するの?」と。過払い金の発生には、「出資の受入れ預り金及び金利等の取締りに関する法律」、いわゆる「出資法」と呼ばれている法律について理解する必要があります。
出資法は、金利を取り締まる役割を持ち、違法な金利による利息の契約や支払い請求に関しては刑事罰を科すことが可能です。ただ、出資法で刑事罰が科せられる利率と、利息制限法で定められた利率の間には差があったのです。
利息制限法で定められた利率は前述の通りですが、出資法では、平成2年まではなんと年109.5%の利率までもが実質的に認められていたのです。その後、出資法で許容される利率は徐々に下がっていき、現在では利息制限法と差が出ない、年20%の利率までしか認めていません。
つまり、ご紹介したような利息制限法と出資法のズレが、過払い金を発生させる理由になったといえますね。この2つの法律の間をすり抜けるようにして用いられていた金利を「グレーゾーン金利」と呼ぶこともあります。
特に以前は、貸金業法第43条の「みなし弁済」というものがありました。みなし弁済とは、貸金業者が利息制限法の上限を超えた利息を受け取っても問題ないというもので、みなし弁済の制度が存在していたからこそ、貸金業者は出資法の金利で貸し付けを行うことが出来ていたのです。まさに、グレーゾーン金利を生み出した制度といえますね。
過払い金が発生する場合とは?
では、お金を借りていた方全員に過払い金があるのかというと、そうとは限りません。また、過払い金が仮にあったとしても請求して取り戻すためには、一定の条件があります。まず、過払い金があるかどうかを調べる方法からご紹介していきます。
過払い金の有無を調べるには、貸金業者から取引履歴を取り寄せるところから始まります。それに記載されている情報を元に、支払った、もしくは支払っている金額と実際に支払うべき金額との間に差異がないか計算する必要があるのです。この計算に関しては、取引が複雑であればあるほど、自身で行うことが少し難しい面もあります。
ですから、きちんと実態を把握したい方や、計算を間違えないか自信がないという方は、弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。過払い金の相談や計算を無料で行ってくれる弁護士事務所も多くありますので、「もしかしたら、過払い金があるかもしれない」と思う方は、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。
ただし、先ほど少し触れましたが、過払い金が発生していたとしても、請求して取り戻すためには一定の条件があるのです。次は、過払い金請求ができる条件について詳しく見ていきましょう。
過払い金の請求自体は、お金を返している最中でも、完済した後でも行うことは可能です。ただ、返済中と完済済みのそれぞれの場合で、あらかじめ知っておきたい注意点もあります。
まず、借りたお金を現時点で返済中の場合です。返済中の場合には、過払い金を請求して取り戻すことができるとしたら、その分を返済に充てることができるというメリットを誰しも思い浮かべるのではないでしょうか。
確かに、その点は1つのメリットなのですが、もし過払い金請求をした上で、戻ってきた過払い金を返済に充てても完済とならなかった場合には、債務整理を行ったということでブラックリストに載ってしまい、お金を新たに借りたいと思った時に、借りられない期間が出てくる可能性があるのです。その点は、過払い金請求をする前にしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
次に、完済済みの場合についての注意点を説明します。完済済みの場合は、過払い金請求には時効があるという点を挙げることができます。その時効とは、完済した日から10年に設定されているのです。ですから、過払い金が発生していることは判明した場合でも、完済日から10年が経っていると、請求をしてお金を取り戻すことができないのです。
また、取引をしていた貸金業者が何らかの理由で倒産してしまっていたという場合にも、過払い金を取り戻すことはできません。
借金に対する状況は個人個人で異なってきますが、ご紹介したような注意点をしっかり考慮に入れ、慎重かつ迅速に行動に移すことが過払い金を取り戻すための大切なポイントになってくるでしょう。その際に、1人で何もかも考えていくのは難しい面がありますので、確実に過払い金を取り戻したいということであれば、専門家である弁護士の力を借りることをおすすめします。
過払い金が発生しない場合もあるの?
では、今度は過払い金が発生しない場合についてご紹介していきます。まず、これまでご紹介してきたように、過払い金は利息制限法で定められている利率を超えて取引を行った場合に発生してくるものという大前提があります。
ですから、いま借金中の場合でも、以前借金をしていて今は完済済みの場合でも、適正な利率での借り入れということであれば、過払い金が発生する可能性はきわめて低いといえるでしょう。
次に、過払い金に関する問題が取りざたされ、2006年に最高裁判所の判決が出たことを機に、貸金業者は金利の見直しを行うこととなりました。ですから、それより後に新規で行った借り入れに関しては、適正な範囲内での金利で取引が行われていた可能性が高く、過払い金が発生しない可能性があるのです。
目安としては2007年や2008年となり、新規の借り入れを行ったのがそれより前か後かというのが1つのポイントになりますので、過払い金について調べる時には頭に入れておくようにしましょう。その他にも、過払い金が発生しない場合として以下のような事例を挙げることができます。
- クレジットカードのキャッシング枠ではなくショッピング枠で借り入れを行った場合
- 銀行や公庫といった、もともと適正な利率で取引を行っているところから借り入れを行った場合
過払い金が発生するかしないかは、個人のこれまでの借金の経緯によって変わってきます。自分自身では判断しきれない場合も多いかもしれませんので、そんな時にはプロに依頼しましょう。
過払い金の仕組みを知って行動を起こそう
なぜ過払い金が発生するのかということを中心に、過払い金について様々な面からご紹介してきました。過払い金が発生する仕組みが分かったとしても、実際に過払い金の請求や返還を求めることができるのかということについては、各々の状況によって変わってくることでしょう。
今までの借り入れに関する取引が多ければ多いほど、また、長ければ長いほど、状況は複雑になっている可能性があります。そんな時には、やはり専門的な知識を持つ弁護士に依頼をしてみるのが良いでしょう。自分自身では把握しきれていなかった過払い金が戻ってくるかもしれませんよ。
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