過払い金の支払いで用意する和解書とは

過払い金の支払いで用意する和解書とは

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2018.07.05

過払い金に和解書が必要なのは

民法第695条で制定されている「和解」は、2者間、もしくは3者間で互いに争点となっているものに対して譲歩し争いをやめることと定義されています。つまり、和解書は、争点を終着させて譲歩したことを証明する、証拠になる書類といえます。基本的には、貸金業者から過払い金を返還してもらう過払いの額が決まると作成する書類が和解書になります。

過払い金も争点のひとつといえます。借金をした人と、消費者金融やカード会社との間で、過払い金をいくら請求できて、どのくらい回収できるのか、いつお金を受けとれるのかなどを書面に記しておくものです。

和解書が必要になる事例

過払い金の終着が見えたときに、和解書を作成するのは重要なポイントです。同種類の示談は口頭でも成立しますが、和解書は争点が終着した証拠になるので、和解後のトラブルを最小限にすることも可能になるでしょう。和解書を作成しておくことで、決定した金額や振り込み方法など金額や方法を証明することができます。

たとえば、過払い金を決定し、期日を設けて振り込み先等も和解書に記載していたとしても、各業者からの送金が遅れている場合など「支払いを約束した」ことの証拠となります。また、請求される消費者金融やカード会社側としては、和解書があるなら追加でお金や条件を要求できなくなる書類です。

和解~合意、返還までの手順と手続き方法のポイント

裁判から判決を待たずに、和解によって解決することを希望する場合、消費者金融やカード会社側が提示した金額に合意していることを和解書に記します。和解書作成までの手順は、以下の通りです。

受任通知の発送

弁護士や司法書士へ過払い金の返還請求手続を一任したのち、その事務所から「受任通知(介入通知)」を消費者金融やカード会社など各貸金業者に送ります。この受任通知が業者に届くことによって、返済や取立を止めることが可能になります。個人で過払い金の返還請求を行ったときは、返済や取り立ての催促は止まりません。

引き直し計算

受任から1~3か月の間に、「利息制限法」に基づき、正確な法定金利での「引き直し計算」を行います。弁護士や司法書士は、正確な取引履歴に15~20%の法定金利で引き直し計算、つまり履歴の情報と合わせることが必要になります。

各業者への過払い金返還請求書

法律事務所から「過払い金返還請求書」を各業者へ発送します。

各業者と弁護士や司法書士による返還交渉開始

弁護士や司法書士が、過払い金の金額や返還日について「返還交渉」を始めます。通常は電話や郵送などの書面で行われますが、過払い分の返還に応じない業者については、訴訟を提起することで裁判扱いとなります。しかし、司法書士の場合は、簡易裁判所での代理訴訟の対応しかできないため、地方裁判所や控訴審の場合は対応できません。

合意書の取り交わし

過払い金の返還交渉が始まり、消費者金融やカード会社が返還に応じた場合は、「合意書を取り交わし」、交渉が成立したことが書面に記されます。この合意書には、返還される金額や期日が記載されていることになります。

過払い金の返還

合意書に記載されている「過払い金を返還」のために、期日までに入金されるよう確認します。

過払い金請求を弁護士の力を借りずにするのは難しい

上記で取り上げた「和解~合意」そして「返還」までの手順や手続きは、弁護士や司法書士のプロフェッショナルな人が行うとスムーズに流れます。過払い金を戻してもらうための返還請求は、個人でも申請でき、消費者金融やカード会社に直接行うことも可能です。

しかし、消費者金融やカード会社も1円でも過払い分を減らそうと躍起になっており、個人に対しては強気で接してくることも多くみられます。そこで、個人で交渉するよりも慣れた弁護士や司法書士のほうが、有利に進むといえるでしょう。

また、過払い金返還請求は一度しかできないため、やり直しがききません。さらに、書類を取り寄せ、利息制限法で引き直して計算し、請求書を作成して送付し、交渉を行うのはかなり複雑な作業となります。

そのため、過払い金請求において弁護士や司法書士の交渉や和解の経験は、重要なポイントです。後戻りのできない作業でもあることを考えると、弁護士に依頼することでスムーズな返還請求にすることもできるでしょう。

過払い金の和解書に記載しておくべき内容は?

和解書を作成するときには、示談書と同等の内容になりますが、明確に記載されていなければならない事項がいくつか異なります。

和解書に、まずタイトルを付け「和解書」と記します。厳密な名称は決まっていませんが、債権者である消費者金融やカード会社との間で、過払い金の返還金額と期日について和解契約が成立した内容が含まれている必要があります。

次に、和解条項となる和解した内容の記載が正確であるかを確認します
そして、和解をした期日を記入し、和解をした当事者両名「借りている人」と「債権者である消費者金融やカード会社」の署名・押印をします。2通以上作成した場合には、和解書の上部に、割り印や契約印も押印しておくことが無難でしょう。

和解書の作成費用

法律事務所によって「和解書」の作成費用は、異なりますが平均的に見ると「20,000円~(税別)」の費用で作成しています。しかし、過払い金の請求として一任している場合は、「着手金」、「基本報酬」、そして「成功報酬」の3点に分けられています。過払い分の金額によっても異なりますが、和解書などの書類作成は含まれていることもありますので、弁護士や司法書士に確認してみましょう。

過払い金の交渉時には和解書が必須な理由

過払い金請求には、借り入れのある消費者金融やカード会社の借金が、時効になっていたり、和解が成立していたりすることもあります。こうしたときには訴訟になりやすいものですが、任意交渉の段階では大きな争点になることは少ないようです。

訴訟になると、手間がかかることが多く、裁判で過払い金を戻すとなると、徹底的に争う姿勢になるため金額が減ってしまうこともあります。「裁判=判決」という結果が出るわけではないので、訴訟は提起しても判決が下る前に、「和解案」に基づいて進められることもあります。つまり、裁判の中であっても「和解すること」があるのです。

さらに、裁判から和解に切り替わったりする場合、「もう返済しなくていい」とか「過払いがあるので〇〇万円で和解を」という話が出ることがあります。しかし、これは多くの場合、弁護士に満額請求されるのを避けるための方法ですから、すぐに担当弁護士に伝えるようにしましょう。慌てて和解書にサインをしないように注意することも必要です。

過払い金の返還を避け、できる限り低い金額で済ませようという手法のひとつなので、交渉や和解の経験のある弁護士に相談しながら進めていきましょう。

過払い金の書類作成!プロに任せて安心の「和解書」

さまざまな事情から、個人で過払い金請求を計画していたとしても、書類の準備や作成だけでなく、和解に至るまでの交渉や「和解書」作成が大きな役割を担っていることを考えると、弁護士に依頼すれば、一連の作業や手続きを安心して任せることが可能になります。

交渉や和解のスキルを持ち合わせ、臨機応変に対応できるプロの弁護士や司法書士に、過払い金返還請求一式を依頼するのはおすすめな方法です。

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