ケース別解説過払い金請求から入金までの期間

ケース別解説過払い金請求から入金までの期間

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2018.07.05

過払い金請求から入金までの流れとは

手続き前に準備期間がある

弁護士などの法定代理人に過払い金請求手続きを委任した場合でも、すぐに貸金業者に過払い金請求ができるわけではありません。適切な過払い金請求を行うための準備をする、「準備期間」を有します。

まず法定代理人は貸金業者側に「依頼者より過払い金請求手続きを受けた」という内容を記載した、「受任通知」を送付します。受任通知は法定代理人のみが貸金業者へ送付できる通知書で、貸金業者が受任通知を受け取った時点からの依頼者への返済要求や取り立てを止めることができます。

次に、正確な過払い金の総額を算出するため法定代理人は貸金業者側に過去の取引や明細の開示請求を行います。開示請求内容が法定代理人の元へ届くまでは、貸金業者によって異なりますが、1週間から2ヶ月ほどです。

準備期間の最後として、開示された内容を元に法定金利への引き直し計算を行います。利息制限法で制限された上限金利は、借入額10万未満は20%以下、借入額10万円から100万円未満は18%以下、借入額100万円以上は15%以下ですので、この上限金利以上に支払っていた分が「過払い金」に該当します。

引き直し計算にかかる期間は数時間から遅くても数日です。ここで、初めて請求すべき正確な過払い金の総額が算出されるので、実際の過払い金請求に進みます。

以上を踏まえると、準備期間に要する時間は1ヶ月から3ヶ月の間です。ただし、貸金業者側が開示請求に従わない場合や、法定代理人が準備期間の各作業に着手するのが遅れた場合は、当然過払い金請求手続きと入金も遅れてしまいます。

過払い金請求後、和解が成立すれば入金

過払い金請求手続きは、まず法定代理人が貸金業者宛に「過払い金返還請求書」を送付して始まり、その後返還交渉に進みます。返還交渉では、法定代理人と貸金業者側で、電話や書面を通じ金額や返還日などをお互い交渉していきます。貸金業者側が返還交渉の内容を承諾し、返還に応じれば和解が成立しますので、双方で合意書を取り交わして過払い金請求手続きは終了です。

貸金業者へ法定代理人が過払い金請求手続きをしてから、和解が成立した場合はおよそ3ヶ月後に過払い金が入金される事が多いです。準備期間を考慮すると、法定代理人への依頼から実際の入金までかかる期間は4ヶ月~8ヶ月です。

和解が成立しなければ訴訟へ

貸金業者が法定代理人との返還交渉に応じない、または提示した交渉条件を受け入れない場合には過払い金の支払いを求めて訴訟を起こすことになります。法定代理人が裁判所へ提訴し、1回~数回の裁判を経て、相手に過払い金の支払いが命じられれば終了です。

訴訟の場合は、当然返還交渉よりも時間と手間がかかりますので、実際に過払い金が入金されるまで半年~長いと2年に及ぶこともあります。

相手側が入金を行わない場合は催促や強制執行

和解が成立した、もしくは訴訟によって相手側に支払いが命じられた場合でも、貸金業者側がいつまでも過払い金の支払いをしない事があります。この場合、まず法定代理人は相手側へ入金の催促を行い、それでも支払われない場合は強制執行へ進みます。

貸金業者が原因で入金が遅れるケースとは

貸金業者の規模や資財力によって入金に差が

和解・訴訟問わずに過払い金請求が進んでも、請求した貸金業者によっては実際の入金が遅れるケースがあります。

例えば資財力のあるアコムやプロミスなどの銀行系の貸金業者や、経営状態が安定している貸金業者は比較的スムーズに返還交渉に応じて和解が成立します。また、和解が成立せず訴訟となった場合でも、すぐに過払い金の入金対応をする場合がほとんどです。

一方でアイフルなどのノンバンク系の貸金業者、または中小規模の貸金業者の場合は、資財力がなく実際の過払い金返還を先延ばしにする傾向にあるため、入金までも時間がかかることがあります。

過払い金請求に慣れている場合

貸金業者によっては、過払い金請求を多く受けているため和解内容を厳しくしてくるなど、返還交渉が頓挫することがあります。さらに、経営状態の悪い貸金業者は過払い金の返還請求に応じないどころか、倒産の危険性もあります。相手側が倒産してしまうと、過払い金が戻ってこなくなるので、できるだけ早く過払い金請求をしなければいけません。

法定代理人が原因で入金が遅れるケースとは

機関を通じて法定代理人に依頼した場合

法テラスなどの機関を介して弁護士に過払い金請求を依頼した、など仲介機関を通じた依頼は、その仲介機関の決定書が出てから過払い金の入金が行われます。そのため、直接法定代理人に過払い金請求をした時よりも入金に時間がかかることが多いです。

法定代理人の問題

過払い金請求を依頼した弁護士などの法定代理人が繁忙期だったり、ほかの案件で立て込んでいたりすると、過払い金請求自体が遅れることになりますので、最終的な入金も遅くなります。

さらに、過払い金の請求は賃金業者ごとに対策が異なります。過払い金請求の経験が浅く、賃金業者ごとの対策ができない法定代理人の場合も、過払い金請求に時間がかかってしまうため、実際の入金も遅れることになります。

過払い金の入金が遅れている時には法定代理人へ状況を確認する

法定代理人より、「和解が成立した」「訴訟により支払いが命じられた」と連絡があっても、実際に相手が入金しなければ過払い金は回収できません。必要に応じて、入金の催促や強制執行と次の段階を踏みますので、まずは法定代理人へ入金されていない旨を伝え、状況を確認しましょう。

過払い金請求に強い法定代理人に依頼するのが重要

中小企業・経営状態が悪いなどで、過払い金請求から入金まで時間がかかりそうな貸金業者へ過払い金請求をする場合は、あらかじめ過払い金請求に強い法定代理人に依頼するのが重要なポイントです。

また、過払い金請求に強い法定代理人は貸金業者ごとに過払い金請求の対策を踏まえています。過払い金請求から入金までスピーディに進めたい時はもちろん、過払い金請求が難しいと感じる貸金業者に対しても、回収が可能になる可能性も高いです。諦めずに相談してみましょう。

過払い金請求から入金までの期間は様々

過払い金請求から入金までのおおよその期間と、遅れるケース、対処法について紹介しました。ここで内容をおさらいしましょう。

  • 過払い金を実際に請求する前に、正確に過払い金総額を把握するための「準備期間」が必要。準備期間は貸金業者へ法定代理人が開示請求を行ったり、過払い金を算出したりするので、2ヶ月ほどかかる。
  • 過払い金請求で和解が成立した場合は、準備期間を含めて4ヶ月から8ヶ月ほどかかる。
  • 和解が成立せず訴訟になった場合は更に時間がかかり、半年から2年ほどかかる。
  • 和解・訴訟問わず相手側が支払いをしない場合は催促、催促に応じない場合は強制執行へ。
  • 貸金業者によって対応が異なるため、入金が遅れることがある。また、和解や訴訟による支払いが命じられても、入金に応じない賃貸業者も。
  • 仲介機関を通じて法定代理人に依頼した場合、または法定代理人自体の問題で過払い金の入金が遅れることもある。過払い金請求実績の高い法定代理人に依頼するのがスピーディに回収するポイント。

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