過払い金請求と債務整理・任意整理の違いを知ろう

過払い金請求と債務整理・任意整理の違いを知ろう

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2018.07.05

債務整理と任意整理の違い

債務整理とは

債務整理は借金を整理するときに使われる言葉。借金がこれ以上払えないという債務者に対して負担を軽減したり、さらには帳消しにしたりすることで、更生を図るための手続きを指しています。債務整理の手続きには、「自己破産」「特定調停」「個人再生」「任意整理」と大きく分けて4つの種類があります。

国が認めている借金解決のための法的手続きでもあり、債務整理を行う人数はなんと毎年10万人以上。借金額や債務者の経済状況によって、債務処理の手続き方法も異なります。

任意整理とは

上記でも紹介した通り任意整理は債務整理の手続きの中のひとつであり、債務者と債権者が交渉して借金の減額を依頼することを指しています。

具体的には、利息制限法における上限金利(15〜20%)に金利を下げて再度計算することで(引き直し計算といいます)借金を減額。金利をカットした元本を3〜5年の歳月をかけて返済しながら、借金を整理します。

これまで利息の返済が精一杯で元本の返済ができなかった場合でも、任意整理で将来の利息がなくなり返済しやすくなることも。ちなみに任意整理における和解交渉は、基本的に弁護士もしくは司法書士が代理人となり行います。任意整理が利用できる人は、

  • 借金の減額後、3〜5年で返済可能な人
  • 継続した収入が見込める人

上記が条件として挙げられるので、任意整理を検討している人はしっかりと確認しておきましょう。

過払い金請求と任意整理の関係性とは

任意整理中に債務を減額する手段のひとつとして、過払い金請求があります。任意整理の中で過払い金が発生していることが判明すれば、過払い金の請求が可能になり、残債の支払いに充当します。

ちなみに過払い金で借金を完済したあとに、残ったお金を返済請求することも可能です。過払い金の返済請求権には、「取引終了から10年以内」という時効があるので、過払い金が発生した際はなるべく早めに請求することをおすすめします。

任意整理のメリット・デメリット

誰にも知られずに済む

任意整理をする上での大きなメリットとしてまず挙げられるのが、家族や職場に知らされずに済むという点です。自己破産であれば家族にバレる可能性は高いですが、任意整理の場合「家の電話ではなく本人の携帯に連絡してもらう」「封筒での書類送付は事務所の名前を記載しない」等の配慮をすれば、誰にもバレずに債務整理が行えます。

保証人を巻き込む心配がない

自己破産もしくは個人再生で保証人付きの債務整理をすれば、保証人に一括請求がいきます。ですが任意整理であれば、保証人付きの債務を外すことで保証人に請求がいきません。保証人がついている債務は、そのまま返済を続けて他の債務を任意すれば問題ないでしょう。ですが返済が滞れば、保証人に連絡がいくので注意してください。

手続きが簡単

手続きが難しくないのも、任意整理の大きなメリット。自己破産の場合、債務者が裁判所に破産の申し立てをする必要があり、手続き自体も複雑です。しかし任意整理は、裁判所を介さず個人間で交渉をするので、手続きは非常にシンプル。弁護士もしくは専門家に依頼すれば、債務者に手間がかかることはありません。

支払い義務がなくなる

弁護士や専門家に相談もしくは依頼したあと、受任通知を金融業者にFAX と郵送で送付すると、そのあとの支払い催促は止まり返済義務がなくなります。

借金減額の効果が限定的

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、デメリットも存在しています。そのひとつが、自己破産もしくは個人再生と比較して借金減額の効果が限定的になることです。将来の利息などはカット可能ですが、元の借金も減るわけではありません。ですが、利息制限法による引き直し計算をして過払金があった場合は、元本が減るもしくは残債がなくなることもあります。

事故情報が登録される

任意整理を行った場合、5年間の間、事故情報が信用情報機関に登録されるので注意してください。登録されると「クレジットカードへの申し込みや利用・または更新不可」「ローンの借り入れが難しくなる」といったデメリットがあります。新たなローンを組みたい場合は、5年経過するのを待つしかありません。

任意情報も含めた債務費用の費用っていくら?

各債務整理の相場

任意整理

  • 着手金:1社あたり20,000〜50,000円
  • 報酬金:1社あたり20,000〜50,000円
  • 減額報酬:減額分の1割

自己破産

  • 着手金:500,000円〜
  • 報酬金:着手金に含まれている
  • 収入印紙代:1,500円(個人破産)
  • 予納郵券代:4,000円(東京地裁の場合)
  • 予納金:10,290円(同時廃止事件)     16,090円(管財事件)

個人再生

  • 着手金:500,000円〜
  • 報酬金:着手金に含まれている
  • 申立手数料:10,000円
  • 裁判所予納金:11,928円
  • 郵便切手:1,600円

特定調停

  • 収入印紙代:1社あたり500円
  • 郵便切手代:1社あたり420円
  • 報酬金5〜30万円
  • 債務整理は分割払いが可能

ほとんどの弁護士事務所では、分割払いに対応しています。任意整理は最大36回まで分割可能なので、どのくらいの期間で支払いが完了するのかしっかりと目安を立てておきましょう。ちなみに個人再生であれば、最大60回までの分割が可能になります。

弁護士と司法書士どちらが安い?

債務整理を行う場合、弁護士もしくは司法書士どちらかに依頼することが多いです。一般的には司法書士の方が費用は安いと考えている人もいるかもしれませんが、実際のところ費用に差はほとんどありません。

ですが、司法書士は借金の取り扱い金額の上限が140万円までと決められているので注意が必要です。取り扱い金額が140万円を超える場合は、最初から弁護士に依頼することをおすすめします。

費用がどうしても支払えないときは法テラスを利用しよう

債務整理をするとまとまったお金がかかってしまうので、どうしても支払えないというケースもあるかもしれません。そういったときは法テラスの利用(民事法律扶助制度)もおすすめです。法テラスとはお金のない人向けの支援を目的とした機関のこと。

日本全国に支所を持っており、費用が支払えないときに法テラスに立替払いをしてもらうことで、弁護士費用の分割払いが可能になります。さらに法テラスへの返済も苦しくなった場合は、返済の猶予もしくは免除が受けられることも。

ただし、「収入もしくは財産が一定以下でなければならない」「審査に時間がかかる」「弁護士が選べない」といったデメリットもあるので、よく考えてから利用するかどうかを決めましょう。

債務整理と任意整理の違いをしっかり把握しておこう

ここまで債務整理と任意整理の違いや、任意整理のメリット・デメリットについてご紹介しました。借金の返済が行き詰まったときの整理を債務整理、その債務整理の中の1つの手続き方法として任意整理があるということを、しっかりと把握しておきましょう。

それだけでなく、任意整理の途中に過払い金があるかどうかもしっかり確認しておくことが重要。過払い金が判明すれば残債が減らせるので、債務者にとっては非常に心強いはず。過払い金があるかどうか心配な人は、ぜひ弁護士や専門家に相談してみてくださいね。

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