過払い金請求で争点となる取引の分断とは?知っておきたいこと

過払い金請求で争点となる取引の分断とは?知っておきたいこと

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2018.07.05

過払い金請求で争点となりやすい取引の分断

過払い金請求の全てを鵜呑みにする業者はいない

 過払い金が発生しその請求をしても、貸金業者が「はい、そうですか」とすべてを了承するわけではありません。あの手この手を使って、いかに減額して支払額を減らすかをしてくるのが普通です。激しく抵抗された場合には、和解をするのが難しくなり訴訟での解決を目指します。その際に争点となりやすいのが、「取引の分断」です。

 「取引の分断」によっては、過払い金が大幅に変わってきますし計算法も違います。裁判で争われるほど重要なことなので、知っておくと良いです。

取引の分断とは?

 取引の分断とは、取引が完済となった後に新たに新規契約を締結して借り入れを再開した場合に、取引は特定の理由が無い限り分断となるという最高裁の判決を基にしています。要は一度完済したが、もう一回借り始めた場合には前の取引と後の取引は別物ですということです。これを取引の分断と呼んでいます。

 キャッシングをしていた場合、一度完済してもまた借り始めることはよくあることです。何度も完済して、何度も借りるなんてことも人によってはあるかもしれません。借りる際に、契約を新たに締結しなおし利息などを改定した場合には、別の取引であるのは納得ができるでしょう。

ところが、最初の契約のまま一度完済してもカードの返却をせずにそのままにし、しばらくしてから借り始めた場合は同じ契約で取引をしているという認識になるかもしれません。

 取引の分断が争点になるのは、過払い金の計算に大きな差が生まれるからなのです。全てが一つの取引としてみなせば、完済後の借り入れが過払い金と相殺され、借り入れをした元金が目減りします。

そうなれば当然支払うべき利息も減り、その間に支払った利息はとても多くなるため、過払い金も多くなります。逆に分断とされれば、別々に計算するため、取引期間にもよりますがそれほど多額の過払い金は発生しないです。

取引の分断と取引の一連性の違い

取引の分断とみられた時の過払い金

 取引が分断された場合、前の取引で発生している過払い金を後の借入金に充当できるのかどうかは大きな問題です。前の過払い金は前の分で、後の過払い金は後の分で計算をします。この場合は、別々の取引となるため、前の取引終了から10年経っていた場合には時効を迎えてしまいます。

 貸金業者が時効だから認めないというのが、一番わかりやすいです。取引の分断が認められて時効がきてしまい、前の借り入れ分の過払い金が無くなってしまうこともあります。分断かそうでないかは、過払い金の多い少ないに関わってきます。この取引の分断か否かは裁判で結論付けることになるので、時間がかかってしまううえ、分断とみなされてしまうと、とても損になってしまうのです。

一連性の取引とした場合の過払い金

 すべての取引が1つと認められた場合には、すべての取引で一緒の過払い金計算をします。そうすると、最初の取引で発生している過払い金が次の借り入れの元金に充当されるので、そもそも借金は無い状態なのに借り入れて金利を払っていたなんてケースも考えられます。過払い金はとても大きくなります。

 一連性の取引として認められる場合は、最初の取引が完済したのちに次の取引開始までの期間が短い場合です。10年経ってまた借り始めた場合は、分断された取引と取られても仕方がありませんよね。でも、1年後や数ヶ月後であればどうでしょうか。その場合は、一連の取引とみなしてもらいたいですね。

  •  取引開始までの期間が短い
  •  カードが破棄されない
  •  取引条件が変わらない
  •  完済時に契約書類を破棄していない
  •  業者からの勧誘があって借り始めた

などの条件がそろっている場合には、一連性のある取引と認められます。取引開始までの期間がどの程度なら許されるのか?というと、ケースバイケースですがおおよそ1年を境に分断されています。ただ、最近の判例では1年未満でも分断とされる場合もあります。

取引の分断が起きるケース

基本契約を再度行っている場合

 一度完済した後に、新たに借り入れを起こすとき新たな契約書類を交わしていた場合には、契約自体が違うため取引の分断とみなされます。裁判所の判例からも、取引が別々であれば過払い金も別々に計算すべきである、となっています。基本契約が別々ならば、一連性の取引とは認められず分断されているとなります。

 一度完済した後に新たに借り入れを起こす場合には、新規契約をすることが多いのですがカードも一緒、条件も一緒の場合も多く、何も変わっていないことも多いです。そのため、完済後にカードの破棄が行われた、契約書を返還したなどの条件があると、分断と認められることが多いです。基本的に契約が分かれている場合には、分断とみなされてしまう確率は高くなります。

基本契約はしていない場合

 基本契約は前のままの取引でそのままカードも利用できた場合には、別々の契約とみなすよりも一連の取引とみなすほうが合理的です。複数回の借り入れが、同一の契約に基づいて行われた場合には、よほどの長期間の空白期間が無い限りは同一とみなされます。

1年以上のブランクがあるケースでは、分断とみなされています。しかしながらも、ケースバイケースで判決が変わるので一概にこれが正しいとはいえません。取引の分断かどうかは、個人で判断できる内容ではありませんので、専門家に相談するのがおすすめです。

 取引の分断が発生した場合のデメリット

 デメリットは、過払い金が減るということです。しかも、最初の取引完了から10年以上経っていれば、その分の過払い金は時効を迎えていることになります。時効になってしまえば、どれだけ高額な過払い金があったとしても戻ってくることはありません。そのため、取引の分断かどうかは、消費者にとっても貸金業者にとっても大きな問題で、何度も最高裁で争われているのです。

 最初の取引分の過払い金が時効を迎えていなくても、その過払い金が次の借り入れと相殺できなければ過払い金はそこまで大きくなりません。過払い金と呼ばれる払い過ぎた利息は、金融業者に貸し出していたとみなされます。

そのために過払い金に対して、利息が発生するのです。そのため、複数回の借り入れを起こしてそのたびに元金と相殺できなければ、過払い金はほとんどなくなってしまいます。

 取引の分断とみなされるかどうかは、裁判所の判断になってしまうためにどっちに転ぶかはやってみないと分からない部分はあります。しかしながら、分断として計算するのと、そうでないのでは金額に大きな開きが出ます。特に最初の借り入れから完済までに時間がかかっている場合には、より多くの過払い金がある可能性があります。

二回目以降の取引の元本に充当できれば、借入をしていないことになる場合もあり、そうなれば支払った分はすべて過払い金となります。そこに利息が付くので過払い金が、非常に高額になりえるのです。

 判断は裁判に委ねるしかないですし、今更過去の履歴は変えることができません。従ってこればかりは、依頼した法律事務所の頑張りにかけるしかないともいえます。分断とみなされればデメリットしかありませんし、弁護士さんも報酬が減るので一連性の取引となるように、頑張ってくれるはずです。そのためにも依頼する専門家選びはとても重要であるともいえます。

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