過払い金請求で個人信用情報がブラックリストに?

過払い金請求で個人信用情報がブラックリストに?

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2018.07.05

過払い金請求をする前に注意したいこと

過払い金の返還請求をしたいけれど、ブラックリストに載ってしまうのが怖くて請求できないという方も多いのではないでしょうか。

2010年までは返還請求をしただけで個人信用情報機関に登録されてしまう事例もありましたが、現在では金融庁の指導によって、過払い金の返還請求をしただけで個人信用情報機関に登録されるようなことはありません。

過払い金の返還請求には、最後に取引をした日から10年という時効があります。また、返還請求先の金融機関が倒産してしまった場合にも請求ができなくなる可能性があります。できるだけ早く返還請求をするようにしましょう。

過払い金の請求をするためには、自分に過払い金がどのぐらいあるかを調べる必要があります。調査では、まず、過払い金の返還請求をしたい業者に対して取引履歴の請求をします。この履歴を元にして過払い金を計算することになるのです。

取引履歴を請求する時には、「過払い金の返還請求をするため」と相手に伝えるのは避けてください。業者によっては、過払い金が発生してしまった取引を除外して送ってくることがあります。「過去の返済状況が知りたい」などの理由で請求するのがよいでしょう。もちろん、過払い金の調査をしただけで個人信用情報機関に登録されるようなことはありません。

すでに完済している借金の過払い金返還請求をする場合でも、現在借金返済中の方も、ブラックリストに載ってしまう条件をしっかりと理解して、取り返せるはずの過払い金が消えてしまうことのないようにしましょう。

ブラックリストに登録されてしまう条件とは

借金を完済している場合には、過払い金の返還請求をしてもブラックリストに載る心配はありません。また、借金の返済中であっても、返ってきた過払い金で借金がゼロになる時にはブラックリストに載りません。返還された過払い金が借金の総額を上回れば、その金額が手元に残ります。

では、どのような場合にブラックリストに載ってしまうのでしょうか。それは、「借金返済中で、返還された過払い金よりも借金の方が多いケース」です。この場合には過払い金の返還請求ではなく、任意整理の扱いとなります。

この任意整理は、信用情報機関に事故情報として掲載される対象なのです。借金の返済中に過払い金の返還請求をする時には、自分の過払い金の額と借金の残高をしっかりと把握しておく必要があります。

特に、クレジットカードのキャッシングに対して過払い金の返還請求をする時には注意が必要です。キャッシングによって発生した過払い金の返還では、ショッピング枠の支払い残高が差し引かれます。

ショッピング枠の支払い残高よりも過払い金の方が少なければ、債務整理として扱われブラックリストに載ってしまうのです。このような悲劇を避けるためにも、ショッピング枠の支払い残高は事前にゼロにしておきましょう。

貸金業者の合併やグルーブ会社にも注意

例えば、A社がB社に吸収合併されたとします。この場合、A社に過払い金の請求をするためには、B社で手続きをすることになります。つまり、過去にB社で借金をしていてすでに完済していたとしても、吸収されたA社の借金はB社の借金として扱われます。

気を付けなければならないのは、この時にA社にだけ過払い金の請求をすることはできないということです。完済していたとしても、A社とB社両方の借金に対して過払い金の返還請求をする必要があります。この合算した過払い金が現在の借金総額より少なければ、任意整理の扱いとなってブラックリストに掲載されてしまうのです。

個人信用情報とブラックリスト

信用情報機関にはシー・アイ・シー(CIC)のほかに、日本信用情報機構(JICC)と全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つが存在します。貸金業者であれば、この中のどれか1つ、または複数の機関に加盟会員として登録しています。

債務整理や自己破産、延滞などをすると返済能力に難ありとされ、事故情報として掲載されてしまいます。これを俗に「ブラックリスト」と呼びます。ただし、CICだけは自己破産以外の事故情報が掲載されません。

ブラックリストに掲載されてしまっても、永久にそのままということはありません。一定の期間が過ぎれば事故情報は消されます。消去されるまでの期間は各信用情報機関によって定められていますが、過払い金の返還請求で起こりがちな「任意整理」の情報が消えるまでの期間は、CIC以外の信用機関では5年間となっています。

この5年間の起算日は「業者と和解して任意整理を始めた時」です。なお、個人再生の場合は「裁判所から個人再生を認められた時」から起算されます。

信用情報は各機関同士で情報交換されている

信用情報機関3社の情報は、CRIN(Credit Information Network)という仕組みを使って情報交換が行われています。CRINでは、住所、氏名、生年月日などの個人情報のほかに、クレジットカードの契約情報や、滞納などの事故情報が共有されています。

このほかに、FINE(Financial Information Network)という情報ネットワークも存在します。FINEではCICとJICCが、住所や氏名などのほかに、借入額や借入残高、支払い遅延情報などを共有しています。

ブラックリストに掲載されるとどうなるか

ブラックリストに掲載されている間は、カードローン、住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードの入会審査に通らなくなります。携帯電話の分割購入も信用機関の情報を参考にしているので、新たな機種を購入する時に分割での購入ができなくなってしまいます。これは、個人信用情報機関に照会をしてからローンの審査を行っているからです。

ブラックリストのほかに「社内ブラック」というものも存在します。ブラックリストの情報は5年から10年で消えますが、消費者金融などは、自社で事故を起こした顧客の情報を永久に保存しています。

過払い金の返還請求をされた業者も、その顧客の情報を社内ブラックとして保有しています。社内ブラックに登録されると、返還請求をした貸金業者だけではなく、その関連会社からも借り入れることができなくなり、クレジットカードも作れなくなってしまいます。

もちろん、過払い金の返還請求をした業者とは何の関係もない他の貸金業者を利用する場合は問題ありません。

 過払い金請求後でもクレジットカードは使えるのか?

過払い金の返還請求をすると、請求を行った金融機関のクレジットカードは解約となって使用できなくなります。これはキャッシングだけができなくなるというわけではありません。カードに付随しているVisaやJCBなどでショッピングをすることもできなくなります。

ETCカードが付いている場合は、それも使えなくなります。カードで公共料金などの引き落としを行っている場合には、過払い金の返還請求をする前に、別の支払い方法に変えておきましょう。

過払い請求をしたカードと関係のないクレジットカードは、すぐに使えなくなることはありませんが、いずれは使えなくなると思っておいた方がよいでしょう。カード会社は定期的に個人信用情報機関に対して「途上与信」と呼ばれる中間審査のようなものを行っています。途上与信で事故情報が発覚すると更新が認められません。

だからといって、ブラックリストに載ることを必要以上に恐れることはありません。新たに借金はできなくなりますが、健全な経済状態に戻るだけの話です。それよりも、多額の借金返済に悩みながらも返ってくるはずの過払い金が消えてしまうことの方を恐れるべきでしょう。過払い金の返還請求をして、借金を完済させることが何よりも重要です。

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